格付けチェック検証
格付けチェックを検証する2008年1月3日
●番組概要
タイトル:『芸能人格付けチェック これぞ真の一流品だ!2008お正月スペシャル』
放送日時:2008年1月1日(火) 夜6:00〜8:54
製作:テレビ朝日
●司会(敬称略)
* 浜田雅功
* 伊東四朗
* 赤江珠緒
●製作者スタッフ(敬称略)
チーフプロデューサー 今村 俊昭(ABC)
プロデューサー 辻 史彦(ABC)
奥井 剛平(吉本興業)
田島 雄一(吉本興業)
総合演出 林 敏博(ビーダッシュ)
演出 松田 裕士(NETWEB)
●演奏者(敬称略)
ヴァイオリンI:浦川宜也(東京藝術大学教授)
ヴァイオリンII:西江辰郎(新日本フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
ヴィオラ:加藤友佳子
ヴィオロン・チェロ:石川剛(東京フィルハーモニー管弦楽団)
●演奏曲など
演奏曲目:W.A.Mozart作曲 セレナード『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』から一楽章
演奏場所:スタジオ、残響音は殆ど無い。
●音の解析
以下は、実際に放送されたAとBの演奏録音である。
録音機器:Roland R-09でライン入力;AD/DA変換=24bit、サンプリング=48kHz
極めて音が悪く、モノラル録音。高音の伸びや残響音は皆無に等しい。
テレビで実際に放送された演奏(WAVファイル)。イヤフォン御利用の方は音量にご注意ください。
Aの演奏(音声:『芸能人格付けチェック これぞ真の一流品だ!2008お正月スペシャル』テレビ朝日より)
Bの演奏(音声:『芸能人格付けチェック これぞ真の一流品だ!2008お正月スペシャル』テレビ朝日より)
チェック2は「音感」。総額23億5千万円のバイオリン、チェロ、ビオラの弦楽四重奏の音色を聞き分ける。比較するのは総額25万円の練習用楽器。「こう見えても小学校のときは鼓笛クラブでトランペットを吹いていました」という吉田、「弦は難しいのよ」という和田、杉本、YOUらが挑む。(番組公式HP)
寸評:『芸能人格付けチェック』は毎年恒例になっているテレビの娯楽番組である。この番組はどちらが高価な楽器を用いて演奏しているか当てる番組で元旦に放送された。今回のチェックでは半々のゲストが当てた。テレビで流れた音はモノラルで録音環境は良くない。演奏者は東京芸大の教授の浦川氏、新日本フィルのコンマスらである。確かにAとBでは、楽器は変えているが、楽弓は変えていたのか定かではない。弓も楽器と相性があり演奏するのに重要な要素である。
今回、使用された楽器の値段はあってないようなもので、例えばストラドの10億円は、実際のヴァイオリンの最高落札価格3億9000万(ハンマー)と大きくかけ離れている。どこの値段を参照したのかは不明。
AとBの演奏の様子
 A:練習用の楽器を用いた弦楽四重奏(引用元:テレビ朝日) 楽器の響きが乏しいためヴァイオリンIに至ってはメロディの途中で音程を微妙に取り損ねた場面が在った(トリルの部分”ラソラソファ#”の”ファ#”音)。躍動感を無理矢理作り出している。ヴィヴラートがあまり美しくない。
 B:総額23億5000万の楽器を用いた弦楽四重奏(引用元:テレビ朝日) 演奏者は楽器がよく響いて呉れる為、ヴィヴラートを強めに掛けていない。伸び伸びと演奏して躍動感がある。
以下は総額23億5000万の楽器の詳細である。此れらを弾きこなすためには楽器の状態や響き、奏法、弓との相性、曲、背景、作曲家、場所、聴客を全て考えにおいて演奏しなければ楽器はしっかりと応えてくれない為、プロでも使いこなすのは難しい。(因みに、先述の浦川氏は”グァルネリ・デル・ジェス”を所有している)
 ヴァイオリン:ストラディヴァリウス 10億(3億9000万?)(引用元:テレビ朝日)
 ヴァイオリン:グァルネリ(・デル・ジェス?)(引用元:テレビ朝日)
 ヴィオラ:ガスパロ・ダ・サロ(引用元:テレビ朝日)
 チェロ:(マテオ?・)ゴッフリラー(引用元:テレビ朝日)
弦楽四重奏のAとBの演奏の残響音
 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』残響音 A 冒頭部分
 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』残響音 B 冒頭部部分
20-20000Hzの周波数解析を行った。AとBでは大きな違いは見られない。
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』の冒頭音、AとB
 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』冒頭 A
 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』冒頭部分 B
400-10000Hzの周波数を解析した。「アイネ・クライネ」の冒頭部分「GDGDGDGHD」の部分の主要な音の周波数部分である。Bの赤四角部分がAよりも減衰が少ないことが分かる。楽器の響きが犠牲に成って居なく奏者は曲のイメージをより理想的に近づけて行く事が出来るのである。
●所感●
Aの演奏:響きが不足気味、ヴァイオリンのメロディが歌っていない、ヴィヴラートを無理にかけている。一音一音が完結してしまっている。ヴァイオリンを力で押さえて(大きく)発声させている。ヴァイオリンの演奏でクレッシェンド部分を理想的にかけられていない。(自然な発声の大きさではない。)
Bの演奏:響きがある。チェロの音の残響音が豊か。ヴァイオリンの冒頭部分の重音(三音同時に弾く)が美しい。曲にのっていて曲の盛り上がりがきれいなクレッシェンドが掛かっている。
一瞬、聞いただけでは判別できないが、メロディの作り方、音楽の情景、弾むリズム等考慮に入れれば正解する問題であろう。Aは音は大きくキビキビしているが良い弦楽器が持つ力強さや楽器が持つ歌いだす様な楽な発声が無い。Bは十分に曲を作っていく余裕が感じられた。
過去に放映された、格付けチェックに於いてヴァイオリンの弾き比べの企画で奏者が高価なヴァイオリンは「人間の感情、例えばうれしいことや悲しいことを表現できる楽器である」と云っていたのが興味深い。尚、2009年度もこの音感チェックが実施された。詳細は此方(追記:090102)。
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